2018年1月2日火曜日

【ママ犬日誌 2-002】初詣



 元旦には最寄りの若宮八幡神社に初詣に行くのが例年の我が家の習わしである。もちろん、祭神が誰なのかは知る由もない。また、祭神が氏神様であり、私が氏子という意識もない。新年を迎えたイベントとして「人も行くから我も行く」というだけのこと。それ以上でも、それ以下でもない。

 我が家は、20年前に発足した戸数13という小さな団地である。部落と部落との境界に位置しており、部落住民との日常的な付き合いはない。だが、大方の住民は、私らのことを知っているようだ。

>あんたんとこには、犬がいっぱいいたじゃろ?

 引っ越してすぐにシベリアン・ハスキー犬とゴールデン・レトリーバーと暮らし始めた。その後、山に捨てられていたシベリアン・ハスキー犬、飼育放棄された柴犬を立て続けに保護。さらには、保健所送りのM・シュナウザー、我が家の前で行き倒れになっていたシー・ズーも加わり、正に我が家は犬小屋と化した時期があった。日曜日ともなると数頭の犬を引き連れて部落周辺を闊歩。それが、午前中の日課であった。そんなこんなで、私らは、「犬を飼っている人」として広く知られることとなった。

 私が、班長の時に市会議員選挙があった。そして、当たり前のように班長総会が招集された。

>XX氏を部落代表の市会議員として推薦することになった。
>そのことを班長総会の議題として提案する。

>ちょっと待った。
>そげんな部落ぐるみ選挙は時代遅れで憲法違反だ。
>我が班は、そのような不法不当な決議には断固として反対する。

>あんた、よう言うてくれた。

 集会所を出る時、何人かの班長が私に耳打ちした。ともかく、私の一言で《部落ぐるみ選挙》の企ては頓挫した。そして、その後は、自由選挙が定着して久しい。まあ、我が部落の古い秩序も、徐々に崩壊しつつあるということだ。そんな中で、元旦には最寄りの若宮八幡神社に初詣に行くのが例年の我が家の習わしである。


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