2018年1月25日木曜日

【ママ犬日誌 2-番外編】ひっくり返り飲み!


▲14日齢に達した黄緑ちゃん

 昨日の夕方の番組で、NHKが《殺処分ゼロの取り組みの問題点》をテーマに特集を組んでいた。

>今、殺処分ゼロを掲げた自治体で深刻な事態が起きている。
>行き場を失った犬や猫が保護団体の施設に溢れかえっている。
>1,000頭、2,000頭の捨て犬を収容している団体もいる。
>そこでの犬の処遇は決して良くない。

 冒頭では、某保護団体が、犬や猫をゴミ屋敷のような劣悪な環境下で狭いケージに閉じ込めていたという実態も紹介していた。いわゆるシェルター崩壊だ。

>殺処分ゼロとは、捨て犬・捨て猫を収容所送りにすることなのか?

 番組は、このような疑問を投げかけていた。驚いたのは、幼い犬や猫のオークション会場の一角に《売れ残った犬や猫を収容するダンボール箱》があったことだ。彼らがブリーダーの元へ帰ることはない。彼らの行く先は、保護団体という名の収容所である。保護団体の役割や意義についての評価は横に置くとして、その実態が《新しい形の捨て犬・捨て猫の収容所》と化しつつある現状は否定されるべきだ。

売らせない!買わない!の基本に戻れ!

私が、初めて犬を飼ったのは23年前。可愛い可愛いシベリアン・ハスキー犬を迎えたのが犬人生の始まりだ。

 翌々年には、山に捨てられていたハスキー犬を保護。同年には、飼育放棄された柴犬も家族に迎えた。それに、我が家の前に捨てられていたシー・ズー、保健所送りのM・シュナウザーも加わった。正に《保護しても保護しても、切りがない!》というのが世の現実だった。

 捨て犬・捨て猫が後を絶たない背景には、次のような悪循環が存在している。

1、ペットショップで仔犬・子猫を大量に展示販売している。
 ↓
2、店先で展示販売しているから誰もが仔犬・子猫を買う。
 ↓
3、結果、本来の需要でなかった犬・猫は飼育放棄される。
 ↓
、飼育放棄された犬・猫は、殺処分ないし収容所へ送られる。

 殺処分ゼロの先頭を切っていた熊本県は、殺処分停止によって増加し続ける犬・猫の管理に行き詰っていた。管理センターの狭い犬舎に多頭飼いされている犬達の日常は悲惨極まりないものだった。「命は助かっても待っていたのは地獄!」が偽らざる実態だ。熊本県は、保護団体の敷地の一角に収容施設を建設中である。保護を委託するためだ。その収容施設も、いずれ収容所と化すのは明らか。どこまで行っても、捨てられた犬・猫に待っているのは地獄のみなのだ。

 このように、終点の取り組みだけでは限界と無理がある。「ペットショップでは売らせない・買わない」という《殺処分のオリジン》を変革する取り組みのみが、その限界と無理とを突き崩す。

生体販売禁止で困るのは繁殖屋のみ!

 パパ犬、ママ犬になるには、数項目に及ぶ諸検査を全てクリアしなければならない。その検査を受けるために、パパ犬、ママ犬候補生たちは幾つかの専門機関に泊りがけで出掛ける。約一ヶ月に及ぶ諸検査をパスした候補生たちだけがパパ犬、ママ犬の称号を手にする。このように、繁殖犬になること自体が難しいことなのだ。

 いざ出産となっても、それは命がけ。今回のように帝王切開を余儀なくされることもある。そして、巣立ちまでの50日間は、24時間体制での世話が続く。繁殖者は、新生児期、移行期、自覚期などの成長期に応じて環境を変え、ハウスやトイレの基本的な躾も行わなければならない。

 仔犬を育てるのって、ものすごく大変なことなのだ。真っ当なブリーディングが主流になれば、仔犬や子猫を大量生産して店頭に並べるなんて状況は消える。そもそも、そんなことは無理なのだ。だから、ペットショップでの生体展示販売を全面禁止しても、ブリーダーが困ることはない。困るのは繁殖屋のみである。

 《仔犬や子猫を店頭に並べて売れば儲かる!》が《仔犬や子猫の商品化》を生み、更には《仔犬や子猫のオークション会場》《売れ残った仔犬や子猫の収容所》《飼育放棄された仔犬や子猫の収容所》という諸システムを構築せしめた。その悪のシステムを崩壊させるには、その出発点を潰すのが一番だ。生体展示販売の全面禁止こそが殺処分ゼロの世界を切り拓く突破口である

犬や猫に5つの自由を!

 20年前のある日、私は、一頭のシベリアン・ハスキーを探して動物管理センターを回った。収容されていた犬たちは、「もしや・・・」との一縷の望みをもって私を見上げた。そして、違うと知って顔を背けた。

 小窓があるだけの薄暗く冷たい鉄格子の部屋。その中で、あっちに3頭、こっちに2頭と犬達が蹲っていた。痩せこけて薄汚れた犬達の視線の先には殺処分室があった。その光景は、実に寒々としたものだった。

1、彼らは、飢えや渇きから自由であるべきだ。
2、彼らは、不快から自由であるべきだ。
3、彼らは、痛み、外傷や病気からの自由であるべきだ。
4、彼らは、本来の行動をする自由を有するべきだ。
5、彼らは、恐怖や苦痛からの自由であるべきだ。

 番組は、最後に「犬や猫に5つの自由を!」と訴えていた。



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