「間違いない」と確信した彼は、土間に下りて妻と息子の匂いを嗅いだ。そして、急いで戻って私の顔をペロペロリ。部屋に上がると、妻と息子にもペロリの嵐。
>覚えていたんですね。
と、ユーザさんが言った。響号は、私らに対する一通りの挨拶を済ますと、ユーザさんの膝の上で目を閉じた。
>響号は、どこで寝ているんですか?
>響は、昼はそこのフナプラで休んでいます。
>夜は、寝室です。
>夜は、寝室です。
>見させてもらっていいですか?
>どうぞ。
そこで、寝室を拝見させてもらったが、そこにはハウスもケージもなかった。
>アハハ、そのベッドで一緒に寝ているんですよ。
>ですから、響が寝言を言ったり夢を見ているのがよーく分かります。
>ですから、響が寝言を言ったり夢を見ているのがよーく分かります。
ユーザさんによれば、
1、響号は、目的地への道筋を一度で覚えます。
2、2、3cmの段差でも止まって教えてくれます。
3、障害物があれば、車が来ないのを確認してから避けて進みます。
4、拾い食いなども全くしません。
2、2、3cmの段差でも止まって教えてくれます。
3、障害物があれば、車が来ないのを確認してから避けて進みます。
4、拾い食いなども全くしません。
と、最高の相棒で最高の盲導犬とのこと。
1、毎月、必ず、動物病院で健康診断を受けさせています。
1、毎月、必ず、動物病院で健康診断を受けさせています。
2、月に一度はシャンプーをしてやっています。
3、歯磨きは毎日です。
4、お出かけの後は、必ず、オレンジXで足と体を拭いています。
3、歯磨きは毎日です。
4、お出かけの後は、必ず、オレンジXで足と体を拭いています。
響号とユーザさんの日常は、私らの想像とはかなり違っていた。
>多分、響号は、ケージで待機しているんだろう。
>夜は、ケージで寝ているに違いない。
>夜は、ケージで寝ているに違いない。
そんな風に思っていた。私らは、そういう生活を予想して響号にそんな一年を過ごさせた。が、響号の日々は、完全に想定外だった。
話が一段落したところで、私らは遠慮がちに響号をハグハグさせてもらった。すると
>僕、実はこの時を待ってたよ!
とばかりに、響号は部屋を飛び回り始めた。隣の寝室にダッシュしてベッドに駆け上ってUターンしては私らの元に戻っては顔をペロペロペロリを繰り返した。
>すみません。興奮させてしまって・・・
>いや、構いませんよ。
>私は、雨の日にはボール遊びをしてやります。
>すると、響は(今のように)飛び回ります。
>それでも、ちゃんとお仕事はします。
>大丈夫です。
>私は、雨の日にはボール遊びをしてやります。
>すると、響は(今のように)飛び回ります。
>それでも、ちゃんとお仕事はします。
>大丈夫です。
なお、響号は、私らがユーザさん宅を後にした時、寝室のベッドに上って窓からしばらく見送っていたという。
>帰られた後、響が何時もの場所にいないんですよ。
>探したら、寝室のベッドに上がって窓から外を見ていました。
>皆さんを見送っていたんですねー。
>探したら、寝室のベッドに上がって窓から外を見ていました。
>皆さんを見送っていたんですねー。
そのことを聞いた私らは、「ウン、やっぱし、響号がリタイアしたら迎えにいこう!絶対にいかねば・・・」と思った。
盲導犬になった響号との再会。それは、私らに《盲導犬とユーザさんの実際の暮らしの一旦》を垣間見させた。本記事では割愛したが、そこには互いに命を懸けた挑戦の連続、互いに対する信頼あっての挑戦の日々という側面もあった。今日、響号は、警察の依頼で《盲導犬とユーザさんを輪禍から守るための点字ブロックの敷設状況確認テスト》に終日奮闘したという。
盲導犬響号とユーザさんの安全と健康とを祈って結ぶとする。
PS、ユーザさんと犬との関係
少し、ユーザさんと犬との関係を補足しておく。
>失明するまでは柴犬などと暮らしていました。
>失明するまでは柴犬などと暮らしていました。
>警察犬訓練所の依頼でジャーマン・シェパードを2頭預かったこともあります。
《響号の今の暮らしの背景には、ユーザさんと犬との歴史がある》のかもしれない。